グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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ニュース 2013年

【レビュー】2013年度GC-JNシンポジウム~これからのCSRと経営~

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2013年11月22日、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)はCSR活動の議論と考察を深める場として「これからのCSRと経営」をテーマに、マルチステークホルダーによる年次シンポジウムを開催し、企業、国連機関、政府、学術・研究機関など各方面から約200名が参加しました。

これからのCSRと経営-ポスト2015を見据えて-

昨年2012年の「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」の開催や、ミレニアム開発目標(Millenium Development Goals)のゴール地点2015年が見えてきたことが引き金となり、改めて2015年以降の「持続可能な開発(Sustainable Development)」はどうあるべきか、そこにビジネスセクターがどう主体的に関与していくのか、の議論が次第に熱を帯びてきました。本年9月にニューヨークで開催された国連グローバル・コンパクトの3年ごとの総会に当たる「リーダーズ・サミット」においても、ポスト2015に向けた『Business Engagement Architecture』が提案・採択されています。
一方、日本に目を転じると、本年は日本のCSR元年と言われた2003年から10年を数え、また奇しくもグローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)がその前身としての産声を上げてから10周年の節目に当たります。この間、企業の社会的責任として求められるものや、その期待に呼応する企業の活動も大きく変化しました。グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークもこうした潮流にいささかなりと貢献すべく、分科会活動やインナー・アウターの広報活動を展開しております。

有馬代表理事 開会の挨拶

有馬代表理事からは国連GCおよびGC-JNの活動の近況報告をいたしました。GC-JNの『分科会活動』や『明日の経営を考える会』のご報告とともに、国連GCに関しては9月にニューヨークで行われたリーダーズサミットで公表された『Business Engagement Architecture』をご紹介するなど、国内外のCSR動向についてご報告いただきました。

続いて、GC-JN事務局長 名取俊英より国連GCとGC-JNのご紹介をいたしました。会場には非会員の方も多くご参加いただいておりましたので、GCの組織体制や経営にとってのGC署名の意義、GC-JNの分科会活動等についてご紹介し、ご興味を持っていただく機会となりました。

小宮山 宏氏

小宮山 宏氏(株式会社三菱総合研究所 理事長、GC-JN理事)より『「成長の限界」を超えて~持続可能な社会構築に向けたCSR戦略~』のタイトルのもと基調講演をいただきました。
「21世紀は人類史の転換期」というキーワードからも伝わる通り、長い人類のあゆみと文明の発展を振り返るとともに、「質」の向上を実現する「プラチナ社会」という新たな考え方をご提示いただきました。また、高齢化社会を迎えた日本においては、それを好機と捉え、さまざまな分野からのアプローチで健康・自立産業の創生を実現する必要性を投げかけられました。こうした大局的な観点からCSRと社会のイノベーションについてご講演いただき、明快でメッセージ性が強く参加者の心に響くご講演でした。

プラチナ社会研究会

村本 正昭氏

続いて、ネスレ日本株式会社 執行役員パブリックアフェアーズ統括部長 村本 正昭氏より、『Nestlé in Society:社会とネスレ~共通価値の創造とネスレの責務と履行』というタイトルでご講演いただきました。
グローバル企業である「ネスレの概要、共通価値の創造戦略とCSR、ネスレのCSV(Creating Shared Value)戦略の具体的取り組み、企業価値を向上」といった内容で事例を交えながらお話いただきました。世界をリードする栄養・健康・ウェルネス企業としての取り組みは参加者にとって非常に参考になるご講演でした。社会課題に企業がどのように取り組み、貢献し、結果として企業価値の向上へつなげるかを改めて深く考えるたいへん有意義な機会となりました。

シンポジウム最後は、日本企業に視点を移したパネルディスカッションを行いました。ビジネスセクター会員3社と投資家をお招きし、日本企業の取り組みと投資家の立場からみる企業のCSR経営についてディスカッションしていただきました。
日本企業の取り組み事例として、社員を巻き込んだ環境教育の取り組み、ICTの力による社会的課題解決への取り組み、オーガニックやフェアトレードなどの視点を盛り込んだ商品開発、そして投資家からのこうした取り組みに対する評価などが紹介され、CSRの取り組みを全社共有の価値観や収益性のあるビジネスに結びつけるための社内の意識啓発などについて討議されました。企業の取り組み事例と投資家という長期的視点の立場からのお話はそれぞれ多岐に渡り非常に興味深いご発表およびご意見ばかりでした。

パネルディスカッション『これからのCSRと経営 ~日本企業の取り組み』
株式会社ファンケル CSR推進事務局 小倉 悦子 氏
富士通株式会社 CSR推進部長 藤崎 壮吾 氏
株式会社良品計画 取締役・執行役員 生活雑貨部長 鈴木 啓 氏
コモンズ投信株式会社 取締役会長 渋澤 健 氏
モデレーター:株式会社大和総研 調査本部主席研究員 河口 真理子 氏

事務局より

シンポジウム後の交流会では、80名近くの方にご参加いただき大変賑わいを見せておりました。これからもGC-JNは日本における最大級のCSRプラットフォームとして皆さまともに前進していきます。今後ともよろしくお願いいたします。