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持続可能な開発目標(SDGs)

SDGsで両輪を回す〜国内外のより良い社会づくりと中小企業の発展

公益社団法人 日本青年会議所(日本JC)

公益社団法人 日本青年会議所(日本JC)

http://www.jaycee.or.jp/

この度、公益社団法人 日本青年会議所(日本JC)の佐々木隆浩様、飯沼寛量様に日本JCでのSDGsへのお取組について伺った。

― まずは日本JCとしてSDGsへのお取組を始められた経緯を教えてください。

もともと国際青年会議所(JCI)と国連は深い関係にあります。そのつながりは国連設立の際、当時のUSJC(アメリカ)会員で後の合衆国副大統領となったロックフェラー・ジュニアが準備委員会のメンバーとして活躍し、ニューヨークにある現在の国連ビルの場所を提供したことに端を発しています。以来JCIは国連認定のGeneral Statusを有するNGO組織となり、国連が進めるイニシアチブに協調しながら、世界中で運動を展開しています。
JCIの一員である日本JCは、「修練」「奉仕」「友情」の三つの信条のもと、奉仕活動等の活動を通じて社会的課題の解消に積極的に取り組むことを使命としています。会員は20~40歳までの青年を対象とし、現在、約3万5千人が参加しています。
2015年にSDGsが採択されたことを受け、同年11月に開催された世界会議金沢大会において、SDGsゴール6「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続的な管理を確保する」の推進を金沢宣言として発表しました。そして2016年度より国際協力運動として「JCI JAPAN SMILE by WATER」キャンペーンを展開しています。

― 「JCI JAPAN SMILE by WATER」キャンペーンとは具体的にどのような活動なのでしょうか。

このキャンペーンではアジア各国に「安全な水」を届けるためのプロジェクトを実施しています。各プロジェクトは1年間の単年で実施され、活動資金は会員からの募金やクラウドファンディングで集めています。


活動1年目の2016年には、バングラディッシュの農村への雨水貯留タンク設置事業を実施しました。雨水を貯めてろ過し、飲み水として利用するためのタンクを合計200基設置し、約100世帯へ安全な飲み水が確保できるようにしました。
2年目である2017年は、カンボジアのプレアヴィヒアにて食用魚の養殖事業を支援しました。これは、プレアヴィヒア政府、現地NGOや大学、そして地元関係者と協働して行った事業なのですが、食用魚養殖事業を通じて、現地の人々の暮らしを食と経済の面から支えていくというものです。つまりこのプロジェクトにより、食用魚の安定供給と現地の人々による事業運営を実現することが可能となるのです。さらに、事業運営から得られた収益は井戸建設に充てる計画で、食用魚の養殖から新たな展開を生み出す循環型の事業運営を目指しています。2017年10月29日には現地にて事業引継式を実施し、現地の人々へ本事業を引き渡すことができました。
これらのプロジェクトは、プロジェクトの主担当者が現地の協働者を探すところからスタートします。ビジネススキームやビジネスモデルの組立はすべて日本JCが行っていますが、現地の人々との協働を特に重視しています。担当者は月に一度の割合で現地に赴き、現地政府、現地NGOら関係者と定例会を実施し、お互いの意見を出し合い、改善を図りながらプロジェクトを進めています。担当者が定期的にも現地に足を運ぶことで、現場のみならず担当者がプロジェクト管理の手法を実地で学ぶことができるのです。

プレアヴィヒアでの養殖事業の概要(プレゼン資料より)
プレアヴィヒアでの養殖事業の概要(プレゼン資料より)

― おっしゃるように、会員の方々の人材育成の側面もあるプロジェクトですが、運営においてチャレンジングな部分を教えてください。

海外でのプロジェクトということもあり、なかなか計画通りに進まないことが現状としてあります。企画から運営まで随時、関係者と連携を図りながら進めていますが、文化的背景の違いもあり連携の難しさを感じることもあります。2017年のプロジェクトでも資金確保の遅れや現地で発生した自然災害の影響もあり、魚の収穫が当初の計画よりも遅れるという事態も発生しました。
また、日本JCは公益社団法人のため、プロジェクト実施による利益の追求は行っておらず、各々の活動はあくまでも社会貢献として行っています。しかし活動を続けていく中で、我々の活動が単なる社会貢献で終わるのではなく、現地の人々自らがビジネスを運営していくための仕組みを作らなければ、SDGsの持つ「持続可能な」活動とはいえないとの理解が浸透してきました。
2018年度のプロジェクトでは、対象地域にビジネスが引き継がれ、経済が循環し、地域の発展につながっていくということを重視し、企画を進めたいと考えています。

JCI JAPAN SMILE by WATER抜粋

― 日本JCがこの活動から得るものとはどういったものでしょうか。

世界が抱える水と衛生の問題について、人々の意識を高めることを目標としています。ひいては、持続可能な社会に向けて一人一人が国際協力に取組めるような社会になるのが理想です。


また、日本JCでは、世界を変えるための企業人を育てることも重視しています。このような様々な経験を通じて、主要な会員である若手経営者が人間的に成長し、今後のよりよい社会づくりに貢献していくことが大切だと考えています。

JCI JAPAN SMILE by WATER JCI JAPAN SMILE by WATER

― 海外でこういった活動を実施されている日本JCですが、会員の皆様のSDGsの認識について教えてください。

先にお話したように、ゴール6をメインテーマに2年間に亘り活動を行ってきましたが、まだSDGsの認知度はあまり高くありません。地区によってはSDGsの浸透に力を入れている協議会もありますが、「開発途上国の問題」として自分事として捉えていない会員が多いとの印象です。
また、日本JCが有する3万5千人の会員のほとんどは中小企業の皆さんです。大企業では経営におけるSDGsの展開が始まる中、中小企業ではSDGsと自社と間に距離を感じている経営者が多いのも事実です。
そのため2018年からは、従来からの国際貢献活動と並行して、日本JC会員へのSDGs認知度向上を図っていく予定です。全会員がSDGsを自分事と捉え、世界の課題解消に貢献するための共通言語と認識し、より身近に感じられるためのキャンペーンを進めていきたいと考えています。

(取材・文=GCNJ堂脇智子/泉沙織・IGES小野田真二/加藤瑞紀 取材日2017/10/19)

取材こぼれ話
日本JCのお二人は自らが若き経営者として会社を率いると同時に、日本JCの活動にも果敢に取り組まれています。世の中を自分達の力で変えていくという力強い精神のもと、2足の草鞋を履き続けるお二人にただただ感銘を受けるばかりでした。