グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

会員数:企業・団体 会員ログイン

ニュース 2025年

【GCNJ年次シンポジウム2025レポート】 530名が集い、SGDs達成への決意新たに

更新日:

VUCA時代のリーダーシップと 未来へ繋ぐサステナビリティ経営

11月6日(木)、国連大学本部ビル(東京都渋谷区)にて『GCNJ年次シンポジウム2025~VUCA時代のリーダーシップと未来へ繋ぐサステナビリティ経営~』を開催しました。
GCNJ会員企業・学生・国連関係機関など、会場・オンラインで集った参加者は約530名。SDGs達成期限まで残り5年、国連グローバル・コンパクト25周年となる今年、改めてSDGs達成への機運を高めるイベントとなりました。

オープニング:2030年まで残り5年。670社超が協力し合い、未来世代への責任を果たす

シンポジウムはアントニオ・グテーレス国連事務総長による国連グローバル・コンパクト25周年記念メッセージのムービーで開会。署名数が世界20,000社超となった国連グローバル・コンパクトの意義と、「誰一人取り残さない社会が実現された時こそ、私たち誰もが前進できる」というメッセージを届けました。

続く主催者挨拶では、6月にGCNJ代表理事に就任した磯崎功典(キリンホールディングス株式会社代表取締役会長CEO)が登壇し、670社超のGCNJ会員の皆さまとともにプロアクティブにSDGs達成へ取り組む決意を表明。また、キリンホールディングスにおいて、国内で先駆けてサステナビリティ経営を実現してきた経験から「社会課題の解決を通じてこそ、企業は持続的に成長できる」と力強く語りました。

第1部基調講演:VUCA時代の戦略は未来づくり。重要なのは人材

基調講演『今求められるリーダーシップとグローバル人材』では、経営戦略論の大家として知られ、ハーバード・ビジネス・スクール、一橋大学で教鞭を執られた竹内弘高氏(国際基督教大学理事長)が登壇。
今年惜しくもご逝去された野中郁次郎先生とともに磨き上げた革新的なリーダーシップ論を引きながら、日本企業が生き抜くためのヒントを語り、「リーダー」と「マネージャー」の違いや、創造性を養うことの大切さに触れ、聴衆へ「野性味を持ちながら、未来志向のリーダーとして行動すること」の重要性を語りました。

第2部パネルディスカッション:日本のリーダーたちに、強さと面白さを

第2部パネルディスカッション『日本企業が取り組むサステナビリティ経営の課題と展望』では、パネリストに竹内氏、磯崎代表理事、福田加奈子氏(住友化学株式会社 常務執行役員 サステナビリティ推進部長)、モデレーターに河口眞理子理事(立教大学特任教授 三菱化工機株式会社 社外取締役)を迎えました。
ディスカッションは、河口理事による「VUCA時代」の読み解きからスタート。従来の経済学における「価値」の枠組みから外れる問題が数十年にわたり山積してきた結果、気候変動等の問題が人間の生活そのものを脅かしているという問題提起がなされました。

福田氏は、住友化学の事業の源流や「自利利他 公私一如」の精神に立ち返りながら、SDGs採択当初から率先して経営に取り入れてきた経験を紹介。サステナビリティに取り組むことは、いわば変革に挑むことであり、そのためにリーダーに求められるのは強さと優しさである、と語りました。

磯崎代表理事はキリンホールディングスでのサステナビリティ経営の実現において「トップリーダーの覚悟」「ストーリーの面白さ」「多様な人財」を大切にしてきたことを強調。竹内氏は「リーダーには相棒が重要。ストレートな異見を言ってもらえることが、強さを生む」と、未来に向かう野性味あるリーダー人材への期待を示しました。

率直な議論に対して、会場・オンラインからも質問が活発に寄せられました。気候変動やSDGsに関する機運を問う質問へは「止まらずに、めげずに継続していくしかない」「危機感が国全体として必要」と登壇者全員が強い意志を持って答えました。

会場オフショット:国連グローバル・コンパクトの理念をアクションへ

今年は、新たな企画として、会員企業が主体的に活動する分科会やコレクティブ・アクションを紹介するパネル展示も実施。各分科会の幹事企業が日ごろの活動を生き生きと語り、GCNJ会員どうしがつながりあう機会となりました。

登壇者(敬称略)

竹内弘高

国際基督教大学理事長

1946年東京都生まれ。
1969年国際基督教大学(ICU)卒業。
1971年カリフォルニア大学バークレー校にてMBA、1977年同校にてPh.D.取得。
ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)助教授、一橋大学商学部助教授を経て、1987年に同教授に就任。一橋大学大学院国際企業戦略研究科の立ち上げに尽力し、2000年から10年間研究科長を務めた。2010年にHBS教授、2022年に同シニアフェロー。現在はICUの理事長を務める(2019年~)。一橋大学名誉教授。グローバル企業での実務経験もあり、ダボス会議をはじめとする国際会議にスピーカーとして数多く出席している。

竹内弘高

磯崎 功典

キリンホールディングス株式会社 代表取締役会長CEO
GCNJ代表理事

1977年4月 キリンビール株式会社入社。
サンミゲル社(フィリピン)取締役、キリンビール/キリンホールディングス経営企画部長を経て、2009年常務執行役員経営企画部長、2012年キリンビール代表取締役社長、2015年キリンホールディングス代表取締役社長、2024年年同社代表取締役会長CEO(現任)。
2025年6月、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン代表理事に就任。

磯崎 功典

福田 加奈子

住友化学株式会社 常務執行役員 サステナビリティ推進部長

1988年4月 住友化学工業株式会社(現 住友化学株式会社)入社。
高分子添加剤の研究や国内外営業等を経て、2013 年に CSR 推進部長に就任。
その後、住友化学ヨーロッパ社長を歴任し、2024年サステナビリティ推進担当(現任)。

福田 加奈子

河口眞理子(モデレーター)

立教大学特任教授 三菱化工機株式会社 社外取締役
GCNJ理事

一橋大学大学院修士課程修了(環境経済専攻) 2020年3月まで大和総研にて、サステナビリティの諸課題について、企業の立場(CSR),投資家の立場(ESG投資)、生活者の立場(エシカル消費)の分野で20年以上調査研究、提言活動を行ってきた。現職では、サステナビリティ学についての教育と、エシカル消費、食品会社のエシカル経営にかかわる。 国連グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン、日本サステナブル投資フォーラム、WWFジャパンなどのNGO団体の役員も多数つとめる。 著書は『ソーシャルファイナンスの教科書』、『SDGsで「変わる経済」と「新たな暮らし」』(共に生産性出版刊行)他。

河口眞理子(モデレーター)