グローバル潮流を学ぶ
サプライチェーンマネジメントへの取り組み
近年「お客様から急に調達に関する質問表が送られてきた。どのように対応すればいいのだろう」「日々対応に追われている」といった企業の方の声を耳にするようになりました。これは企業の責任範囲を、環境や人権などの分野を問わず、サプライチェーン全体と捉える国際潮流によるものです。企業によるサプライチェーンマネジメントは、ESG投資家も重視しています。
企業の調達活動がグローバルに展開され、世界各国の社会的な問題が、調達活動にも強く影響を及ぼすようになってきました。またグローバル企業の規模も拡大し、1国に匹敵するような影響力を有する企業も出てきており、社会的影響力も増しています。それを受け企業に求められることも、従来の調達で重視されてきた“Q(品質)”“C(コスト)”“D(納期)”いう経済的側面だけでなく、サプライチェーン全体で持続可能な社会的責任を果たす調達(CSR調達)へと大きくシフトしてきています。
たとえば、環境の観点で、環境負荷を最低限にとどめパリ協定実現に貢献するために、持続可能な原材料調達が期待されています。企業にとっても持続可能な原材料調達を実現することは、原材料の安定供給・生産効率の向上・温室効果ガス排出量の抑制・生態系保全への貢献と共に、投資家の高評価にもつながります。また、環境に配慮した製品の購入や、環境マネジメントシステム規格(ISO14001など)を取得しているサプライヤーからの購入は、グリーン調達と呼ばれ、注目を集めています。
さらに、環境の観点に人権の観点を加えた、サステナビリティ調達も言われるようになりました。調達先サプライヤーに対して、コンプライアンス・人権・労働・安全衛生・環境などの基準を提示し、それら基準を遵守するよう要請する動きが強まっています。例えば、人権の観点で人権侵害や差別の禁止、労働の観点で児童労働や強制労働の禁止などが含まれています。
こういったサプライチェーンマネジメントは、事業を安定的に継続し、誠実な企業ブランドを維持するためのカギとなる取り組みです。
これら潮流に対して、企業はどのように対処していくのか、その内容を「目的でつながる」でご紹介しています。