グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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組織概要

筒井 裕子理事メッセージ

「日本から世界へ、共に行動しましょう」

筒井 裕子理事の写真

国連グローバル・コンパクトは1999年、当時のアナン国連事務総長がダボス会議で呼びかけ、2000年に正式に発足しました。このイニシアティブは、世界中の経営トップに「人間の顔をしたグローバリゼーション」を実現するためのコミットメントを促進し、「人権の保護」、「不当な労働の排除」、「環境への対応」、および「腐敗の防止」に関する普遍的な10原則を掲げています。現在、志を共にする加盟企業・団体の数は2万4千を超え、世界最大のサステナビリティイニシアティブとなっています。

設立から約4半世紀が経過した現在、世界では自国第一主義が広まり、社会の分断が深刻化しています。このため、地球規模の課題解決の道筋が見えにくくなってきました。例えば、「環境への対応」においては、2024年には2年連続で地球の平均気温が史上最高を更新し、気候変動が原因とされる大規模な自然災害(洪水、熱波、干ばつ、森林火災など)が各地で発生しています。これらの課題を解決するためには再生可能エネルギーへの移行、すなわちエネルギー・トランジションが重要ですが、新興国の経済成長やAIの普及に伴うデータセンターの拡大などにより、エネルギー需要は増加傾向にあります。そのため、各国・地域のエネルギー政策は安定供給や安全保障、産業競争力の確保に重きを置く方向にシフトしています。

筒井 裕子理事登壇の様子

さらに、企業を取り巻く環境の複雑化・流動化が進み、リスクを見極めて行動することがますます困難になっています。それでもなお、私たちは国連GCの4分野10原則で示される課題に誠実に向き合っていかなければなりません。私たちの暮らしや企業活動は、地球環境や自然からの恩恵、そしてグローバルなネットワークによって根底から支えられており、これらの公共的な資産がなければ継続すら困難です。一方で、それらに対して致命的な影響を与える可能性もあるため、意識的に行動する必要があります。

日本においては、ローカルネットワークであるグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)への参加企業・団体数は現在600以上に達しました。企業のトップが自ら責任ある創造的なリーダーシップを発揮し、社会の一員として行動する取り組みに、これほど多くの日本企業が共感していることは素晴らしいことだと思います。また、GCNJの分科会活動への参加者数は毎年4千人以上に達しており、「三方よし」という言葉を引き合いに出すまでもなく、日本企業には自らのビジネスと社会との関わりを真剣に考え、社会と企業双方の価値向上を実現していく「社会の公器」としての意識が自然に備わっているように感じます。

GCNJのパーパスは「持続可能な地球環境と社会の実現を目指して、世界とつながり、ともに行動する」と定められました。混迷が深まる世界において、私たち日本がリーダーシップを発揮し、大いに貢献できる時代が到来したのではないでしょうか。これからも、「目的と本質」を見据え、サステナブルな社会の実現に向けて共に行動していきましょう。

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 理事
日本郵船株式会社 常務執行役員 サステナビリティ戦略本部長
サステナビリティ戦略委員会委員長 上級環境管理責任者(ECEM)
筒井 裕子