ニュース 2010年
国連グローバル・コンパクト(GC)10周年記念シンポジウム「日本企業と国連グローバル・コンパクト-CSRの新たなプラットフォームへ-」
更新日:国連グローバル・コンパクト(GC)10周年記念シンポジウム「日本企業と国連グローバル・コンパクト-CSRの新たなプラットフォームへ-」(グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)主催)が11月9日(火)、江東区青海の日本科学未来館にて開催され、企業、国連機関、NGO、学術機関など幅広い分野から約300名が参加しました。
本シンポジウムはコフィー・アナン前国連事務総長によるグローバル・コンパクトの提唱から10年が経過したことを記念して開催され、これまでの10年間の進歩とこれからのグローバル・コンパクトのあり方について様々な視点から積極的な議論が交わされました。
シンポジウムはグローバル・コンパクト・ボード・ジャパンの有馬利男議長の開会の挨拶から始まり、高須幸雄氏(外務省参与、人間の安全保障担当大使、前国際連合日本政府常駐代表)による人間の安全保障の重要性と企業の果たすべき役割、官民連携の重要性などについて、「国連と国連グローバル・コンパクト」のテーマにご自身の経験を踏まえた特別講演が行われました。続いての基調講演では足達英一郎氏((株)日本総合研究所主席研究員ESGリサーチセンター長)が「日本企業CSRのこれまでとこれから-GC署名企業に期待されること」をテーマに、CSRの概論、グローバリゼーションの中での日本企業の現状とこれからの役割、グローバル・コンパクトの位置づけなどについて話されました。
パネルディスカッションでは、野村彰男氏(グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー、前朝日新聞ジャーナリスト学校長)の進行のもと、パネリストとして山下真理氏(国連広報センター長)、足達直樹氏((株)レスポンスアビリティ代表取締役)、宮本武氏(オムロン(株)グループ戦略室CSR推進部長)、金田晃一氏(武田薬品工業(株)コーポレート・コミュニケーション部(CSR)シニアマネージャー)の4名が登壇されました。それぞれの分野でCSRおよびグローバル・コンパクトの活動に最前線で携わるパネリストの方々からは様々な切り口からの意見が述べられました。特に、グローバル・コンパクトのはたらきについて、欧米企業、国内企業のCSRの実践例、グローバル・コンパクト署名前後での変化、グローバルな課題に対する取り組みなどを、国連との関係性を交えた積極的な議論が行われました。
また、各分科会に参加する企業による分科会活動事例紹介では、MDGs分科会、生物多様性分科会、サプライチェーン分科会、CSR報告書研究分科会に参加する企業からそれぞれの活動内容について発表が行われ、来訪者の方々にGC-JN会員の具体的な活動を知っていただくよい機会となりました。
閉会の挨拶は後藤敏彦氏(グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー、NPO法人サステナビリティ日本フォーラム代表理事)によって行われ、シンポジウムは盛況のうちに終了しました。
会場外では、分科会が作成したパネルも展示され、休憩時間や終了後の時間を利用して、CSRやグローバル・コンパクトに関する活動についての質疑応答が行われました。
グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク主催のシンポジウムは、2008年から年一回様々なテーマにて開催されています。
- 日時:
2010年11月9日(火)13:30 ~ 17:30 - 場所:
日本科学未来館(江東区青海)7階 みらいCANホール - 主催:
グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク - 後援:
外務省、国連広報センター、日本経済新聞社、朝日新聞社
プログラム
13:30 ~ 13:35 |
開会の挨拶 グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン 議長 有馬 利男 氏 |
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第一部(共通編)
13:35 ~ 13:55 |
特別講演 「国連と国連グローバル・コンパクト」 外務省参与 人間の安全保障担当大使 前国際連合日本政府常駐代表 高須 幸雄 氏 |
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13:55 ~ 14:25 |
基調講演 「日本企業のCSRのこれまでとこれからーGC 署名企業に期待されること」 (株)日本総合研究所 主席研究員 ESG リサーチセンター長 足達 英一郎 氏 |
第二部(実践編)
13:35 ~ 13:55 |
パネルディスカッション 「国連グローバル・コンパクト署名と参画によるこれまでの成果と今後の期待」 国連広報センター(UNIC) 所長 山下 真理 氏 (株)レスポンスアビリティ 代表取締役 足立 直樹 氏 オムロン(株) グループ戦略室 CSR 推進部長 宮本 武 氏 武田薬品工業(株) コーポレート・コミュニケーション部(CSR)シニアマネジャー 金田 晃一 氏 モデレーター: グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー 野村 彰男 氏 |
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16:00 ~ 16:55 |
活動事例紹介 「会員同士がお互いに高めあい、社内のCSR活動を加速させるための分科会活動 ~GC10原則の視点から~」 発表:MDGs、生物多様性、サプライチェーン、CSR報告書研究 |
16:55 ~ 17:00 |
閉会の挨拶 グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー 後藤 敏彦 氏 |
17:00 ~ 17:30 |
会場外に設置した相談コーナーでの対応 |
講師略歴
有馬 利男
国連グローバル・コンパクト ボードメンバー / グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン 議長
富士ゼロックス株式会社 相談役特別顧問
1967年国際基督教大学教養学部卒業。同年富士ゼロックスに入社。総合企画部長、米国ゼロックス・インターナショナル・パートナーズCEO、富士ゼロックス代表取締役社長を経て、2008年6月から現職。社長在任時に経営改革を推進する一方、「企業品質」コンセプトを打ち出すなど、CSR経営に尽力した。りそな銀行社外取締役を務めるほか、2007年7月国連グローバル・コンパクトボードメンバーに就任し、CSRの普及に活動を広げている。
高須 幸雄
外務省参与 人間の安全保障担当大使 前国際連合日本政府常駐代表
東京大学法学部第二類 中退、オックスフォード大学マートンカレッジ卒業、1969年 外務省入省。1981年 国際連合日本政府代表部一等書記官、参事官、1988年 欧亜局西欧第二課長、1989年 国際連合局国連政策課長、1992年 在インドネシア日本国大使館参事官、公使、1993年 国際連合事務次長補・財務官、1997年 国際連合日本政府代表部大使、2000年 総合外交政策局国際社会協力部長、2001年在ウィーン国際機関日本政府代表部特命全権大使、2005年 人間の安全保障担当、科学技術協力担当及び国連改革担当、2006年 大使、ハーバード大学客員フェロー、2007年 特命全権大使、国際連合日本政府常駐代表、2010年 外務省参与、人間の安全保障担当大使。
足達 英一郎
株式会社日本総合研究所 主席研究員 ESGリサーチセンター長
1986年一橋大学経済学部卒業。現在、株式会社日本総合研究所 主席研究員 ESGリサーチセンター長。環境問題対策を中心とした企業社会責任の視点からの産業調査、企業評価を担当。金融機関に対し社会的責任投資や環境配慮融資のための企業情報を提供。
日本規格協会ISO/SR 国内委員会委員(現任)(2009年5月までISO26000 作業部会日本エクスパート)。
野村 彰男
グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー
前 朝日新聞ジャーナリスト学校長
静岡県生まれ。1967年、国際基督教大学(ICU)卒業と同時に朝日新聞社に入社。1970年から東京本社政治部。首相番、野党、外務省、自民党などを担当した後、1979~1982年ワシントン特派員。1982年に政治部に復帰し外務省、与野党、首相官邸などを担当ののち政治部次長、外報部次長、論説委員などを経て1991~1993年、アメリカ総局長。1994年、論説副主幹。1998年、朝日新聞総合研究センター所長。
2003年~2005年、国連広報センター所長。2006~2008年、早稲田大学大学院公共経営研究科客員教授。2008年~2010年、朝日新聞ジャーナリスト学校長。
山下 真理
国連広報センター 所長
上智大学で法律学士号、フレッチャー法律外交大学院で法律外交学修士号を取得。1990年に事務総長の情報収集調査室の政務官補佐として国連に加わり、政治局選挙支援部、欧州安全保障協力機構(OSCE)・国連アルメニア合同活動の国連側調査官、国連東スラボニア、バラニャおよび西スレム暫定機構(UNTAES)の次席選挙事務官を務める。国連ニューヨーク本部にて政治局アフリカ局およびアジア局の政務官、国連ネパール・ミッション(UNMIN)の政務室長を歴任したのち、2010年7月に東京の国連広報センター所長に就任、現在に至る。
足立 直樹
株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役
東京大学理学部、同大学院で生態学を学び、理学博士号取得。1995年から2002年までは国立環境研究所で熱帯林の研究に従事する。1999年から3年間のマレーシア森林研究所(FRIM)勤務の後、コンサルタントとして独立。現在は株式会社レスポンスアビリティ代表取締役、企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)事務局長。特に「企業による生物多様性の保全」と「CSR 調達(サプライチェーン・マネジメント)」を専門とし、アジアにおけるCSR の推進についても力を入れる。日本生態学会 常任委員、国際NGO ナチュラル・ステップ・ジャパン 理事、環境省生物多様性広報・参画推進委員会 委員、環境省生物多様性企業活動ガイドライン検討会 委員、サステナビリティ日本フォーラム 運営委員、なども務める。
宮本 武
オムロン株式会社 グループ戦略室 CSR 推進部長
1958年北海道生まれ。1982年防衛大学校理工学専攻課程卒業、同年航空自衛隊入隊。1987年米合衆国陸軍防空学校防空将校課程修了。
1991 年オムロン入社、制御機器営業。1995年青山学院大学国際政治経済ビジネス大学院国際ビジネス研究修士課程修了。その後、役員秘書、中国現地法人経営、内部監査部門長を経て、2008年7月グループ戦略室CSR 推進部長就任、現在に至る。
金田 晃一
武田薬品工業株式会社 コーポレート・コミュニケーション部(CSR)シニアマネジャー
ソニー渉外部で対欧州通商政策、在京米国大使館経済部で対日規制緩和を担当。ブルームバーグテレビジョン アナウンサーを経て、ソニー(再入社)、大和証券グループ本社、武田薬品工業の3社でCSRの立上げに携わる。1987年慶応義塾大学経済学部卒業、1993年レディング大学院経済学部修士課程修了。国連GC サプライチェーン・サステナビリティ・プロジェクト・アドバイザリーグループメンバー。
後藤 敏彦
グローバル・コンパクト・ボード・ジャパン メンバー
NPO 法人 サステナビリティ日本フォーラム代表理事
1964年東京大学法学部卒業、環境監査研究会代表幹事、サステナビリティ・コミュニケーション・ネットワーク(NSC)代表幹事、社会的責任投資フォーラム会長、JCSD 共同議長、拓殖大学客員教授、東京経済大学現代法学部非常勤講師、環境経営学会(理事)、地球システム・倫理学会(常任理事)、環境管理規格審議委員会・EPE 小委員会委員・14005WG 委員、日本環境経営大賞審査委員、等。