

組織概要
小宮山 宏理事メッセージ
私の半生は国連グローバル・コンパクトを体現しているようです

代表理事の有馬さんに依頼されてグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(以下、GCNJ)の理事になりました。そのころ企業数が100を超えたとうかがいましたが、今や623社にまで成長しています。SDGsやESG投資、公益資本主義やBコープ、従業員持ち株企業など、資本主義の欠陥を補うべく、さまざまな試みがなされています。そうした中でも、2000年に始まった国連グローバル・コンパクト(以下、国連GC)は草分けと言えそうです。
1980年代に温暖化が地球的課題になり始めたころ、誇張ではなく私には、地球が、研究対象だった化学コンビナートに見えました。それで研究を始め、地球温暖化をいかにして防ぐかを中心に、GCNJの活動とは非常に親和性の高い仕事をしてきました。思いつくままに、例示してみます。
東大サステナブルキャンパスプロジェクトを立ち上げて、30%を超える省エネに成功しました。脱炭素への貢献ですし、当時東大全体で60億円だった電気代の削減には、大きな財務価値もありました。4年間の総長在任中に5つの学内保育所を作りました。秋の晴れた日、銀杏の木の下で幼児が遊ぶのを目にしたとき、報われた思いがしました。財務負担は小さくなかったですから。
大学を離れてから、「地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会」と定義したプラチナ社会を実現しようとしています。プラチナ社会のための産業を生み出す必要があると思い至り、第一弾として森林産業イニシアティブを立ち上げ、第二弾として、今年秋頃、エネルギー産業イニシアティブを立ち上げます。国内再エネの開発余地は膨大です。エネルギー消費すべてを賄うことも可能です。
STS (Science & Technology in Society)フォーラムという国際会議を主宰しています。政財学界のリーダーが、科学技術の光と影を、個人として議論する場で、毎年10月、京都で年次総会を開いています。気候変動は一貫してメインテーマのひとつですが、昨年からAIが加わりました。便益もすごいが、危険も甚だしい。AIの研究費は、光と影に半分ずつ出すべきだ、そんな議論が行われます。
国連大学は日本に本部を置く唯一の国際機関です。今、学長がチリツィ・マルワラ氏、南アフリカ出身の若くて意欲溢れるナイスパーソン。私は、国連大学協力会の理事長で、グローバルサウスからの学長や学生の支援に苦労しています。大学をやめれば、寄付のお願いをしなくてすむのかと思っていたのですが、当てが外れました。

一般財団法人ヒートポンプ・蓄熱センターの運営に長く携わっています。暖房や料理や、工場でもたくさん熱を使います。今は、ほとんど化石資源の燃焼熱ですが、カーボンニュートラルに向けて、加熱のほとんどはヒートポンプに代わります。電気を使って熱をくみ上げるのがヒートポンプですから、電気が再エネになれば脱炭素です。
こうしてみてくると、私の半生は国連GC理念の実現を目指していると言えそうな気がしてきました。GCNJは国連GCの理念の下、持続可能な発展を目指すプラットフォームとして、会員企業の自発的な社会的課題の解決への取り組みをサポートしています。地球と社会に対して責任を持ち、サステナブルな未来の実現に向けて、会員企業の皆さんと一緒に邁進できることを心から願っております。
グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 理事
株式会社三菱総合研究所 理事長
小宮山 宏