グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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組織概要

佐藤 博之理事メッセージ

根本的に思考し、足元からのアクションを!

佐藤 博之理事とUN Global Compactロゴの写真

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)の理事を務めております佐藤博之です。

私は1990年前後から30年余り、環境問題を中心とした社会課題に取り組んで参りました。その始めの頃、1992年にブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミットに参加する機会を得たのは幸運でした。当時は先進的な企業に環境部署が設置され始めた時代で、1996年には環境ISOと言われるISO14001が発行されました。私が産官学の有志とともにグリーン購入ネットワーク(GPN)を立ち上げたのも同じ年です。世の中はまだまだ懐疑的な企業が少なくなかったですが、この頃から産業界で環境ムーブメントが一気に広がりました。それ以来、一時的な停滞はあったものの、CSRの考え方やSDGsの普及もあり、いまでは社会の持続可能性に無関心でいられる企業は無くなったと言っても過言ではないでしょう。まさに隔世の感があります。

こうした持続可能な社会を目指す世界の大きな潮流の中、2000年に国連グローバル・コンパクトが立ち上がり、2003年には日本の活動も始動しました。さまざまな国際的な枠組みができ、数多くの組織やイニシアチブが設立され、サステナビリティの話題がニュースに登場しない日はないくらいになりました。

しかし、多くの人々の尽力で改善が進んだ領域が少なくないものの、社会全般の状況としては悪化を食い止められていないのが実態だと思います。私たちはいま、次の二つのアプローチから持続可能な社会への取り組みを加速すべきではないかと考えます。

まず、根本的な社会の有り方の転換を考えることです。例えば、省エネや再エネの技術だけでは気候変動問題は解決できませんし、プラスチックを循環させるだけでは海洋プラスチックはなくなりません。過剰なエネルギーやプラスチックを必要とするライフスタイルや豊かさを方向転換し、地球の制約条件の中での豊かさを再発見していくこと、人と人との温かい関係性や心の豊かさを実感できる社会にしていくことです。そのためには、グローバル経済一辺倒の社会から、ローカルコミュニティなどヒューマンサイズの生活経済を基盤としてグローバルに繋がる社会へと転換していくこと。これから議論が始まるポストSDGsでは、AI時代における人間社会のあり方とともに、ローカル基盤をキーコンセプトにすべきではないかと考えています。

佐藤 博之理事の写真

二つ目は、具体的なアクションを足元で拡大することです。いまGCNJでは、一社一業種では取り組みが難しいことについて、業種を超えて多数の企業が協働するコレクティブ・アクションを推進しています。特に日本は同質の人や組織が集まりやすい社会ですが、GCNJは多業種の大企業から中小企業まで、持続可能な社会づくりにコミットする多様な企業が集っています。会員それぞれが知恵と経験を持ち寄ることで、新たなソリューションやアクションが生まれてくることを楽しみにしています。

先が見通せない混沌の時代においては、この根本思考と足元の行動の両方から取り組んでいくことが求められていると思います。

” Think fundamentally, Act concretely.”

これからも皆さまとともにGCNJという有意義な器を大きくし、その器が持つパワーを最大限に活かしてより良い社会に向けて汗をかいて参りたいと存じます。GCNJへの積極的な参画とご協力をよろしくお願いいたします。

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 理事
アミタ・サーキュラーデザイン株式会社 取締役会長
アミタホールディングス株式会社 シニアフェロー
佐藤 博之