グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

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■ANAホールディングス株式会社
持続的な企業価値向上と​
社員・家族・関わる人たちの豊かな人生の実現

アクション宣言

  • リモートワークや短時間勤務制度などの柔軟な働き方の選択肢を設け、社員が働き方を選択できる環境をつくる​
  • 誰もが、今以上に家事・育児・介護に参画できるよう意識醸成を強化するとともに、全該当者の育休取得率100%を実現する
ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長 芝田 浩二 氏

社外インデックスの組み入れが加速の鍵​

女性活躍に関する取り組みに対して厚生労働大臣が認定する「えるぼし認定」で最高位の三つ星を獲得し、子育てサポート企業としても、同じく厚生労働大臣から「プラチナくるみん」の認定なども受けています。

日本企業の人的資本経営を牽引し、常に社外インデックスを組み入れて発展させてきた同グループが、「GCNJ コレクティブ・アクション2030」に参加した理由について、ANAホールディングス株式会社 代表取締役社長の芝田浩二氏はこう語りました。

「働き方改革の推進や多様な価値観の許容にあたっては、社員の意識改革が不可欠ですが、一朝一夕にいくものではありません。継続的に社員の意識に訴えかける策を実践していく必要があると考えています。
すでに各社でさまざまな取り組みを行っていますが、企業単体ではなく、社会全体で取り組むことが大きなムーブメントにつながると思料しています。企業での取り組みを継続しつつも、社会全体で両立支援ができる環境整備および意識醸成が必要です」

個々の力をチームとしての成長と価値創造の源泉に

同グループでは、2015年4月に「ANAグループDEI宣言」を策定してから、DEIを経営戦略の柱のひとつに掲げてきました。
そこでも芝田氏は決意をこう語っています。
「ANAグループではDEIの推進によって、世界中で働く社員がお互いを尊重し、個々の力をチームとしての成長と価値創造の源泉にする企業を目指しています」

ANAホールディングス株式会社 ジェンダー平等に関する取り組みより(公式サイトの芝田氏の言葉より一部調整)

「2020年にグループDEI推進部を専任部署として新設し、同時にANAの各部門やグループ各社にDEIワーキングチームメンバーを配置し、グループ全体で推進活動を加速させてきました。

2021年のコロナ禍にはANAで新しい勤務制度を導入。客室乗務員の勤務日数を事由に応じて5割・7割・8割・9割から選択できるようにし、また、地方からも通勤を可能とする働き方を選択できるようにしました。同時に、副業も解禁。その後2023年には、これらを正式に制度化しました」

女性の活躍領域の拡大

同グループでは、女性活躍の分野でも、意思決定の場における女性比率の向上について、2020年代の可能な限り早期における30%の実現を目標としています。

「女性社員を含む多様な社員一人ひとりの能力を活かし、チームや組織の力に変えていくため、管理職を対象に部下育成やコミュニケーションのヒント、チームの在り方など、具体的な行動化について学ぶ研修を実施。仕事と育児の両立支援の一環として、育児休職中の社員とパートナーも参加可能なセミナーを開催するなどしてきました。​

現在、役員層への女性の登用を積極的に行っており、2024年4月の女性役員比率は、ANAが23.4%、ANAグループで11.8%、女性管理職比率はANAが20.2%、ANAグループで20.3%です。また、働き方の選択肢を充実させてきた結果、23年度ANA単体の離職率は3.6%となっています」​

女性が少数派である職種において活躍する女性の人数拡大にも力を入れています。

「国際航空運送協会(IATA)の女性活躍推進に関する取り組み『25by2025』プログラムに参画し、2025年までに、航空機整備を担う技術職と運航乗務職における女性の社員数を2019年と比較して25%増加することをゴールに設定し、2024年に達成しています。
今後も、次世代を担う女子学生が理系も含めた幅広い領域に関心を持つためのプログラムや、情報発信にもさらに力を入れていきます」

(公式サイトの芝田氏の言葉とアンケートより一部調整)

他社の事例共有や情報交換が、自社の変化につながっていく

「GCNJコレクティブ・アクション2030」で17社の社長が一堂に会してアクション宣言を行い、企業トップによる非公開のラウンドテーブルに出席した芝田氏は、次のように振り返っています。

「冒頭の小室淑恵様の講演も参考となる情報がちりばめられていましたし、MS&ADホールディングス社による『育児休業を取得する社員が所属する職場全員に手当てを支給している』という事例紹介が興味深かったですね。当事者ではなく、周囲への配慮に着目した点がユニークだと感じています。
改めて、各社ですでにさまざまな制度を設けているが、社員が、快く利用できる風土を作っていくことが必要だと実感しています」

さらに、家族の在り方や就業感が多様化し、社会環境も変化する中、社員の働き方も画一的ではなく、それぞれに合った働き方を自ら選択することができる環境を整えることが必要だと考えていると言います。

「単に制度を整えるだけでなく、多様な働き方を許容できる寛容さが職場および社会全体に求められています。社員が安心していきいきと働き続けることができることが、企業の成長にもつながると考えています。
そして、単独の企業では成し遂げがたい目標も、複数の企業が協力し、一体となって取り組むことで、必ずや実現へと導くことができるでしょう。共にその目標を達成すべく、精進してまいりましょう」