■株式会社サンゲツ
組織の根幹は人
ステークホルダーを巻き込んだ多様性の浸透が重要
アクション宣言
- ライフデザインに応じた多様な働き方を選択し、安心して能力を発揮できる環境を整える。
- 全該当社員の育休1カ月取得を実現し共育てを支援する。

業種を超えた経営者が現在地を確認する稀有な機会
「『GCNJコレクティブ・アクション2030』にて目指す姿として掲げられた『一人ひとりの強みや個性が最大限発揮され、誰もがWell-beingを実感できる社会にする』。まさに、この社会の実現には、多様性の尊重が非常に重要であると考えています」
株式会社サンゲツの近藤康正代表取締役 社長執行役員は、「GCNJ コレクティブ・アクション2030」への参加を決めた時の思いについてそう語りました。
1月28日に行われた「GCNJサミット2025」で、近藤社長は2つのアクションプランを宣言しました。続いて設けられたラウンドテーブルに参加した所感を、次のように述べています。
「非常に幅広い業種の経営者が、同じテーマのもとに集まり対話する稀有な機会でした。業種や規模の違いもあって、総論賛成でも各論で違うというところはあると思いますが、目指す方向性や課題感は皆さん同じだなと感じました。また、事業規模が大きく先進的な取り組みを行っている企業も多かったので、事例などが参考になるものもありましたし、改めて自らの現在地を確認するよい機会になりました」
「組織の根幹は人である」
1849年に創業され180年近い歴史を有するサンゲツグループは、事業基盤の強化、事業領域の拡大を進め、さらにこの10年の間にグローバル展開、連結経営の加速、社員の意識改革をはじめ、変革と成長に向けた施策に取り組んでいます。
2024年1月に新たな企業理念を策定し、「すべての人と共に、やすらぎと希望にみちた空間を創造する。」をパーパスとして、⻑期ビジョン【DESIGN 2030】において「Inclusive (みんなで)」「Sustainable (いつまでも)」「Enjoyable (楽しさあふれる)」な社会の実現に向けて貢献していくことを掲げています。
2024年4月に代表取締役社長に就任した近藤社長には、企業経営を行う上で長年心に刻んでいることがあると言います。
「常に心がけてきたのは、『組織の根幹は人である』ということです。そして、人の生み出すパフォーマンスについては二つの要素があり、一つは意欲とモチベーション、もう一つは能力であると考えています。
個人の能力の差というのは、あっても2倍、3倍程度でしょう。しかしながら、意欲のあるなしで結果は100倍も違ってきます。ですから、私としては、人的資本の強化・拡充の根源は、全社員の意欲・モチベーションの向上であると考えています」
仕事をする本来の目的というのは、社員それぞれが仕事を通じて、自己実現をしたり社会に貢献したりすることであるという近藤社長。
「だからこそ、社員一人ひとりの心身の健康、ワークライフバランスがあってこそ組織、企業は成り立ちます。社員一人ひとりが能力を発揮し、やりがいと向上心をもって仕事に取り組めるように、企業風土や職場環境、働き方に関する制度設計を行なっています」
ステークホルダーを含めた多様性の尊重を目指して
現在、海外事業の展開にも注力している同グループでは、現在、グローバルな視点でダイバーシティを加速させていく必要性を感じています。
近藤社長は語ります。
「そもそもダイバーシティとは、お互いに信頼してお互いを尊重するということです。
多様性は、まさに幅が広く、ジェンダー、健常者と障がい者、シニアと若手、日本人と外国人……考えるべきことはたくさんあります。さらにグループ経営となると親会社と子会社というような多様性が存在します。海外事業の強化に取り組む当社にとっては、これまで以上に幅広く、グローバルな視点でのダイバーシティを考える必要があります。
人間は、そもそも皆違うもので、それぞれに個性があります。その一人ひとりの個性を尊重していくこと、そして、多様性を包括する文化をグループ全体に浸透させていくことが一番重要であると考えています」
同グループでは、人的資本の強化を掲げ、これまでも、テレワークやフレックス制度の導入、介護や配偶者の転勤等に伴う勤務地の配慮、社員の健康への配慮や安心して働ける職場づくり、女性管理職の登用やワーキングマザーへの支援、障がい者雇用など、性別や障がいの有無等に関わらず、社員が働きがいを実感できるような制度制定と運営を積極的に進めてきました。
時短社員や育休社員の評価における公平性を確保するため、休職や短縮となる当該時間や期間を考慮し、フルタイム勤務の社員と同様の水準で評価。昇格や昇進においても同様に公平な制度制定と運営を行っていますが、それでも、「人事制度にベストなものはない」と近藤社長は言います。
「ダイバーシティを支える根幹は人事制度です。そして、外部環境が目まぐるしく変わる中で、この基準には定期的な見直しが必要です。一度決めて終わりではなく、常にベターなものにしていくことが重要だと考えています」
多様なステークホルダーからの信頼と理解が不可欠
これからの社会を見据えて、従業員、取引先、顧客、債権者、地域社会をはじめとする多様なステークホルダーを巻き込んだ企業のあり方についても考えていく必要があるという近藤社長。
「企業はステークホルダーなくして成り立ちません。総論でステークホルダーのみなさんから『わかった』と言われたとしても、具体的な施策の部分で理解がない場合は浸透していきません。だからこそ、丁寧に時間をかけて取り組むべきだと思います。
私は、日本経済の停滞の原因は、多様性の欠如にあるとも考えています。組織の根幹は「人」です。ステークホルダーからの信頼と理解を前提として、「人」の多様性をより幅広い視点で生かすことが、この停滞を打破する鍵になるのではないでしょうか。サンゲツグループ全体で、性別はもちろん、国籍、障がいの有無などに関わらず、その個性を多様性として生かすことのできる、公平な職場環境を整備することで、目指すべき姿の実現に貢献していきます」
最後に、現在「GCNJコレクティブ・アクション2030」への参画を検討している企業に対して、近藤社長より、メッセージをいただきました。
「社会全体で何が起きているかを学び、自社の現在地を整理・把握するよい機会になるのは間違いありません。積極的に参加されると良いのではと思います」