グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

会員数:企業・団体 会員ログイン

■株式会社JTB
JTBグループの経営の根幹をなす「DEIB」
多様な「人財」が働きやすい社会に

アクション宣言​

  • 一人ひとりが自分らしく輝き活躍できるために、多様な働き方を自律的に選択できる環境・制度を整え、「働きやすさ・働きがい」を高めていく取り組みを推進します。​
  • 自分らしく輝き活躍できるために、ジェンダーバイアスをなくし誰もが家事・育児・介護に参加できる環境整備と両立支援の取り組みを推進します。
株式会社JTB 代表取締役 社長執行役員 山北 栄二郎 氏

人は財(たから)。一人ひとりのWell-beingを

JTBグループでは、DEIB(Diversity・Equity・Inclusion・Belonging)を経営の根幹においています。「人」が「財(たから)」であり、多様な人財が「働きやすさ・働きがい」を感じられること。それにより一人ひとりのWell-beingが高まり、個人が自分らしく輝いて活躍できる。そんな環境を整えていくことが、企業の価値を創出していきます。

「GCNJサミット2025」への参加は、JTBグループの経営理念「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。」にも通じると、株式会社JTB 代表取締役社長執行役員の山北栄二郎氏は語ります。

「社員一人ひとりが自律し、創造的に働ける環境を整えることが、企業の成長にもつながります。我々は『GCNJ コレクティブ・アクション2030』の多様な人財が能力を発揮できる社会を目指す理念に共感、賛同しています。また、サステナビリティの観点からも、JTBグループのマテリアリティの11つ「心豊かな暮らし」や人権にも深く関わるテーマであることも、今回の参加の決め手となりました」

多くの企業にとって、DEIB をどのように浸透させるかは、共通課題です。

「各社、それぞれが抱える課題や環境は違いますが、まずは基本的な考え方や課題を共有することが大切です。そこからそれぞれに合わせて取り組み、成果を出していくことになるのではないでしょうか」

働き方を選択する「JTB Group WORK Style」

JTBグループでは、DEIBステートメント「違いを価値に、世界をつなぐ。」に基づき、「5つの重点活動」をベースにDEIB 推進に取り組んでいます。​

具体的には、①多様性を組織の強みにつなげる組織風土改革、②「JTB Group WORK Style」の定着に向けたワークスタイル変革の推進、③社員の自律をベースとしたキャリア開発支援、④「JTBグループ障害者雇用理念」の具現化、⑤ジェンダー平等の5つになります。

JTBグループでは、旅をはじめとする「交流」を通じてお客様に実感価値を提供するため、どうしてもリアルな人と人の関わりが必要不可欠です。世界中が現場であり、ステークホルダーも多岐にわたります。それらの条件をクリアしつつ、働く場所や時間にとらわれない、柔軟な働き方を実現していく。それが「JTB Group WORK Style」です。

「JTBグループでは、クリエイティブな自律創造型人財を目指しています。そのためには多様性を担保し、それぞれが自分の力を発揮できるように会社としてサポートしていかなくてはなりません。テクノロジーの力を最大限活用しながら、そのような環境を整備しています」

国内JTBグループのネットワークを統一し、オンラインで働きやすい環境をつくることも、その一つです。シームレスなコミュニケーション・プラットフォームの環境を整えることは、グループ内のコラボレーションの機会創出にもなり、グループの事業領域の広がりやジョブ・オポチュニティを拡大しています。

そのためにも積極的にテクノロジーも導入。さまざまなデジタルツールを採用し、システム環境を整備しています。例えば、営業が長時間にわたるショッピングセンター内の一部店舗ではAIも活用した遠隔接客サービスを導入し、また、販売員・現地スタッフ・お客様の3者がオンラインでつながる「JTBリモートコンシェルジュ」という相談窓口対応もあります。顧客の利便性を高めると同時に、社員にとっても時間や場所にとらわれない接客を実現しています。

「この遠隔接客サービスやリモートコンシェルジュなどの取り組みは今後もさらに拡大していく予定です。社員の望む働き方、ライフスタイルを実現する可能性をどこまで広げられるか。それが、DEIBの本質です。大切なのは、過去の常識から脱し、新しい働き方を模索することだと考えています。『JTB Group WORK Style』を通じて、さらなる環境整備に注力していきたいですね」

現場との丁寧なコミュニケーションで風土を醸成

家事・育児・介護にも参加しやすい働き方においては、男性の育児休暇取得が各社共通課題の1つであると考えています。JTBグループでは男性育休の取得率は上昇しているものの、まだまだ短期の休暇取得が多いなどの課題があります。

「男性育休のさらなる取得者増加、平均1カ月以上の休暇取得期間の実現が目標です。そのためには当事者の男性社員はもちろん、職場の理解も非常に重要となってきます。組織的な意識改革を徹底することで、この課題を解決していきたいと考えています」

社員の意識改革を徹底するために、DEIBの取組目標や達成率などは具体的な数値として開示するだけではなく、社員との対話の機会も大切にしています。トップ自らが現場に出かけ、直接、現場の社員とコミュニケーションを深める「DEIB交流会」も全国各地で定期的に実施しています。

「それぞれの事情も受け取り方も違うのが前提です。だからこそ、きっちり丁寧にコミュニケーションすることで、お互いの理解を深めていく必要があります。こういったステップを重ねることこそが、組織風土を改革していくことになります」

成長の機会を設け、社員の自己実現を支援する

多様性、自律性へ向けた意識改革は、一人ひとりの力を発揮する組織づくりにつながります。JTBグループでは、社員が能力を発揮するのを支援する仕組みとして、イノベーション創発プロジェクト「nextender」があります。これは社内ベンチャーで社員起業家を育成するもので、毎年1000件ものアイデアが寄せられています。

「アイデアを出して終わりではなく、事業開発スキルを学ぶ『アカデミー』、金銭的・人財的支援をする『ベンチャービルダー』という2つの仕組みで、事業化をしっかりサポート。ワクワク感をモチベートし、社員の自律的・創造的な自己実現を支援します」

さまざまな取り組みを通して、DEIBの実現を進めているJTBグループですが、大切なのは、社員が成長したいと思ったときにチャンスがあること。そして、周囲が理解してくれる環境です。

「そのためにも、『公平(Equity)とは何か』をしっかり理解することも大切です。単なる平等主義ではなく公平な機会を提供し、個々人に向き合い、リスペクトすることで、それぞれの能力や状況に応じた支援を充実させたいですね」

多くの企業が結集し、社会にうねりを

今回、「GCNJサミット2025」で、トップが一同に介しディスカッションする場を設けたことは、社会全体で課題を解決するムーブメントの加速になっていくはずです。

「多くの企業が情報や取り組みを共有し、連携を深めることで、世の中の常識を変えるうねりを形成できます。それはもちろん、JTBグループにとっても大きな刺激や新たな学びにもなっていくでしょう。それぞれの企業が自社の強みを生かしながら社会のDEIBを実現していく。そんなよりよい未来のために、多くの企業に賛同していただきたいですね」