グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン

会員数:企業・団体 会員ログイン

■BIPROGY株式会社
社員が自ら主体的に選択できる働き方へ​
働く場所と時間の選択肢の多様化を推進

アクション宣言​

  • 社員が自らの働き方を主体的かつ柔軟に選択できるよう、働く場所と時間の選択肢の多様化を進める
  • ライフイベントを迎えた社員が、自組織や家族と互いの意向をすり合わせながら自身のワークライフスタイルを選択できる環境を実現する
BIPROGY株式会社 代表取締役社長CEO 齊藤 昇 氏

他社との学びで、さらにブラッシュアップしていく

「さまざまな業種・業界のトップの方の色々なご意見を聞けたというのはすごくよかったなと思っています。各社ともそれぞれの環境の中で真摯に取り組んでおられるし、課題を感じていることは皆共通していると感じました」

ITサービス大手、BIPROGY株式会社(日本ユニシスから2022年4月に改称) 代表取締役社長CEOの齊藤昇氏は、1月28日に参加した「GCNJ サミット2025」についてそう語りました。

同社はもともと国連グローバル・コンパクトに署名済み。社会課題を解決していくための、人種・性別を超えた多様性の大切さという価値観はすでに表明しています。

「こうした企業横断型の会にも参加して私自身もブラッシュアップしていかなければと思っています」

齊藤氏の参加を大きく後押ししたのは、2024年3月に開かれた国連グローバル・コンパクトのローカル・ネットワーク年次フォーラム(ALNF)。そのハイレベル・ミーティングに出席し、サンダ・オジャンボ国連事務次長補・国連グローバル・コンパクト事務局長兼CEOをはじめ12社の経営トップと意見交換したことでした。

「これが大変刺激的だったことで、こうした会がGCNJでも企画される際には、ぜひ参加して有益なものは持ち帰り、我々の事例で何かお役に立つことがあれば共有していこうという気持ちです」

他社トップと、普段は話さないテーマについて話せた

今回、齊藤氏は普段から顔見知りの経営トップといつもは深く話さない内容に言及できたことが新鮮だったそうです。

「普段会うときに話すのは経営に関する話題が多く、特に私の場合は主にDXのことでした。その同じ顔ぶれで、これまで触れることのなかったテーマについて話すことができたのは、非常によかったですね」

同社グループは、サステナビリティへの取り組みを経営に統合していくために戦略的に取り組むべき重要項目をマテリアリティとして定めており、これに対するKPIと目標値を設定、公開しています。

GCNJサミットにおけるメイン課題に関連するKPIは以下の通り

  • エンゲージメントサーベイにおける働きがいと働きやすさに関連する要素の平均スコア:基準値* 51% +10ポイント以上(2026年度)
    ※2024年6月に実施した調査のうち、「働きがい」と「働きやすさ」に関する7つの設問の肯定的回答率の平均を基準値として設定
  • 配偶者が出産した男性社員のうち、育児のための休業・休暇を取得できた人の割合:100%(2025年度)
  • 男性育児休業取得検討・意思決定において、自身の意向を踏まえて、家族や組織とすり合わせできた人の割合:100%(2026年度)

こうして公表していくことで、目標をきちんと実現していく責任を果たしていく会社としての姿勢がよく伝わります。

女性社員の育休後の復職率100%

これらの継続的な努力の結果、例えば育児休業を取った女性社員の復職率は100%となっています。

「他社さんの事例で、育児休業を取った女性社員が辞めてしまう話をよく聞くのですが、労働人口の不足を考えれば、彼女たちが離職してしまうことは戦力がどんどん不足していくことに繋がります。復職のためのルールが確立していることと、組織のメンバーたちが辞めずに戻れる環境をしっかり整えた結果だと思います」

同社は、さまざまな事情がある社員も最大限に能力を発揮できるよう、フレックスタイム制や時間単位の年休、テレワークなど時間や場所の制約を受けずに働ける環境を整備してきました。

「このように働き方の選択肢の多様化を進めていくことは、男女問わず仕事とライフイベントのワークライフバランス向上と社員のウェルビーイングにつながると考えています。当社の男性育休平均取得日数が100日程度であることは、こうした多様な働き方が定着している証と捉えることもできるのではないかと思っています」

2023年10月から女性に向けて開かれたバーチャルなコミュニティ「marbleMe(マーブルミー)」の提供を開始しています。

他社の女性社員も加入できる企業横断型コミュニティ(有料、企業単位で契約)で医療アプローチだけでは解決できない女性特有の健康課題やライフプランに関する悩みを「対話」で共有し、解決への気づきを与えます。

女性社員同士が匿名で悩みを共有するコミュニティを運営

「女性には『他人に話すことではない』と思い込んでいる色々な悩みごとがあります。異なる企業の女性社員が匿名で参加し、身近な人には話せない悩みを共有・解決することで、解決に向かい、社会全体がよくなっていく。そんな仕組みを運営しています。当社グループでは働きやすい環境が段々と整ってきたので、marbleMeではそれを外の社会で運用し、価値を拡げようとしています」

主なサービスは、自分との対話のために自身の体調の記録をつけたり、利用者同士がテーマ別のチャットルームや質問箱・座談会に参加したり、専門家への相談ができることです。

失われた30年を繰り返さない決意

「当社も『失われた30年』を経てきた他社と同様、年代が上がるにつれて男性社員の割合が多くなります。30年前に今のような職場環境を整えていたら、辞めずに職場に残っていた女性社員もいたと思いますし、より多様な社員が生き生きと働き、企業価値は倍になっていたのでないかと思います」

これは日本全体で言えることかもしれません。もしかしたらもっと新しい仕事、新しい事業が生まれていたかもしれない、と齊藤氏は過去のことも真摯に受け止め、反省からの学びを大事にしています。

「大きな損失でした。さらに私がここで何もしなかったら、20年後、30年後に当社を担う後輩たちが『あの時のトップが〇〇してくれていたら』と悔しい思いをするかもしれない。それはどうしても避けたいからこそ、今やるのです」

将来を見据えれば、企業横断的に課題を共有することは有効に思えます。

「『GCNJコレクティブ・アクション2030』は色々な企業が持っている課題を共有できる場所だと思います。ここに参加する企業同士で知恵を出し合ったり、政府に向けてコメントを出したりしていくこともあるかもしれません。1社だけで解決できない課題はたくさんあります。それを一緒に解決していくための素晴らしいコミュニティですから、ぜひ参加してください」