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お悩み相談FAQ

望ましいCSR調達・持続可能な調達のプロセス

ここではサプライチェーン分科会(以下、SC分科会)お悩み相談ワーキンググループで討議された、CSR調達・持続可能な調達に関する質問と回答(2022~2025年度)をまとめています。CSR調達・持続可能な調達を行う中での疑問や悩みの解決のヒントとしてご活用ください。
なお、ここでの回答は、SC分科会の中でCSR調達・持続可能な調達に携わっている企業の実務担当者の回答の一例であることをご理解ください。
深くお知りになりたい方は是非SC分科会へのご参加をご検討ください。

経営層のコミットメント

  • A.

    CSR調達・持続可能な調達、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)を実施しない場合の企業リスク(法令違反、取引停止、ブランド毀損、ESG評価の低下など)を、社内で共有しています。そのうえで、経営層に対してこうしたリスクを丁寧に説明し、まず取り組みやすい範囲から段階的に開始する方法を取っています。
    このように、“リスクの共有 → 経営層の理解獲得 → 段階的な実装” の流れをつくることが有効です。

  • A.

    業界でのガイドライン、あるいは同業他社のガイドラインなどを参考にしています。また、ISOや指導原則など、有名な規範の中から自社の事業内容に関連して重要と考える規範を複数選定し、類似項目ごとに分類して、項目ごとに採否を選定しました。
    なお、初期段階で完璧を目指すのではなく、定期的に見直し・改定を行うことが重要です。

  • A.

    GCNJの人権デューディリジェンス(人権DD)マニュアルは「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」をベースに作成しています。このガイダンスをベースにすることで「OECD多国籍企業行動指針」「ビジネスと人権に関する指導原則」「日弁連:人権デュー・ディリジェンスのためのガイダンス」「経産省:責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」「中小企業のための人権デュー・ディリジェンス・ガイドライン」とも整合します。また、人権デュー・ディリジェンス(人権DD)は人権リスクのPDCA管理であり、この考え方はISOマネジメントとほぼ同じなので、管理手順についてはISOマネジメントシステムの考え方を踏襲しています。つまり、既存のISO(品質、環境、労働安全衛生)の仕組みに「人権」をそのまま搭載できることを意図しています。

  • A.

    組織の目標等に組み入れられている企業では、多くの方がSDGsやサステナビリティを意識し、以前よりは社員の反応が良く、効果があったと感じています。ただ、これは普及施策だけの成果ではなく、顧客からの要求や目標への組み込みなどの影響も大きいと考えます。

理念の共有

  • A.

    まず、説明会やオンライン研修を通じてCSR調達の重要性を理解してもらうことから始めています。また、SAQ(自己評価質問票)のフィードバック面談に調達担当者が同席するなど、実務の中で“自分ごと化”してもらう工夫も効果的です。
    さらに、調達部門の目標設定にサステナビリティ項目を加えることで、自然と意識が高まるような仕組みづくりも行っています。組織トップの理解が強く影響するため、あわせて経営層にも継続的に働きかけています。

  • A.

    本社にて基本方針やガイドラインを整備したのち、子会社、孫会社へと取り組みを展開し、必要に応じて、ガイドラインの説明会等も行っています。
    特に、EU圏や東南アジアなど、拠点ごとにCSR調達・持続可能な調達に対する考え方が異なる場合、基本的に現地法人の力を借りながら、各拠点に対して、CSR調達・持続可能な調達に関する研修や目標設定、委員会等での報告の機会の提供しています。

  • A.

    そのような拠点に対しては、ガイドラインや基本方針の翻訳や、口頭説明の機会を提供しています。

  • A.

    海外グループ企業における人権デュー・ディリジェンスについては、まず共通方針を明確にしたうえで、国・地域ごとの人権リスクを把握することから着手します。そのうえで、リスクの高い国や事業を優先し、段階的に対応を深める方法が有効です。

  • A.

    トップダウンかボトムアップか、どちらで意識を高めるべきかは、企業によって異なると考えます。そのため経営層からのコミットメントを重視する企業もあれば、サステナビリティ推進に関する部署が経営層に対して研修や発信を行う企業もいます。
    ただし、サステナビリティは長期的に経営層が取り組むべき事項であり、サステナビリティの推進のためのリソースを確保するためには、経営層の意識の向上は避けられません。そのため、取り組みの第1歩として、経営層のサステナビリティに対する意識の確認を行う必要はあると考えます。

  • A.

    例えば以下のような活動が考えられます。

    • 役員向け説明会
    • CSR部門や調達部門から他部署への説明会
    • 顧客からの説明要求があった場合、営業チームと一緒に対応することで、営業チームへのOJT
    • グローバル調達チームへの定期的な進捗報告会議
    • 本社、工場やグループ企業を回って人権などの説明会やサステナビリティの自分ごと化のワークショップを実施
    • 全社員向けE-ラーニング
  • A.

    教育訓練に際し、書籍代金や外部のセミナー受講料等がかかることはありますが、それ以外は基本的に交通費等の実費のみということが多いようです。企業によっては、専門家の外部講師を招聘し、年間数回社内やサプライヤー向けに講演会を開くこともあり、その場合はかなりコストがかかるようです。GCNJサイトでは無料のE-ラーニングや教育目的の映像も掲載しておりますので、ぜひご覧ください。

  • A.

    CSR関連の社内教育については、全社共通の方針のもと、階層別・職種別・グループ会社別などで実施する例があります。新入社員や管理職向けの基礎研修に加え、調達部門や海外拠点などリスクの高い部門には専門的な教育を行い、eラーニングや定期的な研修を組み合わせて継続的に理解を深めています。

  • A.

    一般的に社内に専門組織がある企業では、法務やサステナビリティ部門など、主管部門が行うことが多いようですが、調達部門が積極的な企業においては、自ら動き、サステナビリティ部門と連携しているケースもあります。また、社内のみだと情報量が足りないため、外部有識者やイニシアチブ(GCNJ等)を活用し、社外からも積極的に情報を収集する努力が必要です。

  • A.

    まずは、サプライヤーが不同意とした理由を丁寧に確認します。行動規範の内容がサプライヤーの方針や実態と合わない場合もあるため、どの部分が課題なのかを明確に把握することが重要です。
    また、すぐに取引停止を検討するのではなく、対話を通じて理解を促しながら、必要に応じて重点的な管理(例:監査頻度を高める、訪問時に確認項目を追加する)を行うことも検討します。

  • A.

    一般的には、行動規範や関連する国際規範が改訂されたタイミングで再確認する企業が多いです。一方で、毎年SAQ(自己評価質問票)や同意書を送付して確認する企業もあります。
    また、特に取り組みが不十分と思われるサプライヤーには、毎年確認を求めるなど、リスクベースで頻度を変える方法も有効です。

  • A.

    継続したコミュニケーションが重要となります。まずはSAQ(自己評価質問票)にて、「サプライヤー行動規範」の有無を確認し、未策定と答えたサプライヤーには、策定しない理由をヒアリングした上で、必要に応じて策定支援を行います。

  • A.

    相手サプライヤーの行動規範を確認することが必要です。サステナビリティ活動が十分である場合は、無理に自社の行動規範を展開する必要もないと考えます。

  • A.

    サプライヤーに対して、個別、または合同で説明会を開催することが多いようです。その際は、GCNJの各種ツール(「CSR調達入門書」や「CSR調達研修用ツール・セット」)等を利用することもおすすめです。海外のサプライヤーはYoutubeなどで自社の取り組みについて配信し、その内容を見たうえで、サプライヤーミーティングで要求事項を説明する、などとされているところもあります。

リスク特定

  • A.

    一例として、全社のCSR・サステナビリティを統括する部門が窓口となり、設問内容に応じて品質、調達、人事等の関係部門に作成を依頼し、内容を取りまとめる体制を構築しているケースがあります。依頼窓口が受けた後、回答の作成・承認は関係部門および統括部門が関与する仕組みとすることで、回答内容の妥当性確保と組織的な対応の徹底を図っています。

  • A.

    SAQ(自己評価質問票)はサプライヤーの評価を行うための「調査表」で、人権デュー・ディリジェンスはリスクを管理するための一連の「しくみ」です。人権デュー・ディリジェンスのプロセスの中でサプライヤーのリスク評価を行うためのツールの一つとして、SAQ(自己評価質問票)が使われています。

  • A.

    SAQ(自己評価質問票)の回答受領後、主に重要事項(児童労働や強制労働など)に関する設問に対する回答内容を重点的に確認する事例があります。
    前回のSAQ(自己評価質問票)との推移比較などを行い、サプライヤーとの対話ツールとして活用しています。

  • A.

    GCNJ サプライチェーン分科会でも、共通SAQ(自己評価質問票)や人権デュー・ディリジェンス(人権DD)マニュアル(様式集含む)などの無償ツールをご用意しております。また、サプライチェーン分科会参加企業で使用実績の多い有料のSAQ(自己評価質問票)ツールとしては、プラットフォームが提供するものもございます。また業界団体によって標準的なSAQ(自己評価質問票)ツールが公開されている場合もあります。

  • A.

    例えば調査依頼元がプラットフォームを利用しており、サプライヤーがいずれのプラットフォームも使用していない場合は自社のSAQ(自己評価質問票)に回答を依頼する方法があります。
    プラットフォームごとにSAQ(自己評価質問票)の内容は異なりますが、基準はグローバルスタンダードに従っているので、サプライヤーが自社が利用していないプラットフォームを使用している場合はそちらのスコアカードで評価することも有効です。

  • A.

    リスク特定にはかならずSAQ(自己評価質問票)を実施する必要はありません。自社のサプライチェーンでの地政学的リスク、環境、人権リスクなど外部の情報を使用して、リスクを特定する方法もございます。自社のリソースや知見を活用して、無理のないリスク把握を実施することをお勧めします。
    SAQ(自己評価質問票)を実施したい場合は、外部アンケートツールなどを使用して効率化することが考えられます。

  • A.

    調達金額による優先順位付けに加えて、サプライヤーの所在国や業界における人権や環境のリスクを基準として判断している事例もあります。選定基準の例としては、購買金額の上位〇%(一般的には90%~70%)のサプライヤーを対象とする、CSR調達・持続可能な調達リスクの高い会社(紛争鉱物やパームオイルなどのハイリスク原料、小規模企業などの観点)、取引金額+CSRリスクの高い会社の組み合わせ、特に定めず、すべてのサプライヤーを対象とする、などの例があります。

  • A.

    サプライヤー側での人権ポリシーの策定状況などの体制整備、人権デュー・ディリジェンスの実施状況、温室効果ガス排出量の算定状況や削減目標の設定状況および対策など、マテリアリティに関連する事項での取り組み状況を目標にしている事例があります。

  • A.

    一般的には、発生可能性と深刻度を鑑みて、優先順位をつけていくとされておりますが、役務調達に関しても、優先順位として支払金額を用いることは可能と考えます。しかし、購入金額が少なくても、その企業様のノウハウや人材教育能力などが重要な役務調達先に関しては重要サプライヤーとして考えることも可能と考えます。また、物品調達のサプライヤーと同様、”取引金額は大きくないが、発生可能性と深刻度を鑑みてリスクがあると思われるサプライヤー” も優先順位を上げるべきだと考えます。

  • A.

    評価基準については、自社の事業内容や規模、方針に応じて設定します。特に調達品や調達先地域に特有のリスクを評価できる内容とすることが重要です。また、アンケート結果が基準に満たない場合でも、直ちにリスクと判断せず、現地の実態調査などによるヒアリングを実施し、実際の取組内容を確認することが重要です。

  • A.

    GCNJのSAQ(自己評価質問票)を多くの企業様が使用するようになると、依頼側・回答側の両方で効率的な運用が可能です。今後GCNJとしても、SAQ(自己評価質問票)を広く使っていただけるよう、情宣活動を進めます。また、予算がかけられるようであれば有料プラットフォームの利用も有効です。

  • A.

    会社の規模や取引先の社数がどのぐらいあるかにもよりますが、GCNJ SC分科会の参加企業アンケート(2025年度版)では約6割弱の企業が年1回実施しており, 2~3年に1回の実施が約3割弱となっています。また、すべてのサプライヤーを対象としていると回答した企業は約15%程度、40%超の企業が4割未満のサプライヤーにSAQ(自己評価質問票)を実施していると回答しています。

  • A.

    社内の共通認識を得るためにも、またサステナビリティ評価でも目標設定をしているかを問われることがありますので、目標値は設定しておいた方が望ましいと考えます。調査対象とするサプライヤーの数や質問の内容によっては、100%回収できるとは限らないので、現実的な落としどころを踏まえたうえで回収目標を設定するのが良いと考えます。

  • A.

    対象サプライヤーの担当者が内容を理解できるよう複数言語でSAQ(自己評価質問票)、およびSAQ(自己評価質問票)解説書を準備されることが望ましいです。
    GCNJ版では英語、中国語が用意されていますが、企業によっては必要に応じてタイ語などの言語に翻訳している事例があります。
    翻訳ツールを使用する場合でも、自社の海外現地法人スタッフなどに目を通してもらうことが翻訳精度の向上に有効です。
    また、CSRの概念自体に馴染みがないことも考えられるので、説明会などを通じて取り組みの目的や主旨を明確に伝えることが重要です。

  • A.

    二次サプライヤー管理では、まずは一次サプライヤーから調達方針などの行動規範に対する同意書を取得した上で、その行動規範を二次サプライヤーへ展開し、遵守を求めることが重要です。
    一次サプライヤーが独自の行動規範を有していない場合は自社の行動規範を展開・遵守してもらうことも有効です。

  • A.

    全取扱品を実施するのが理想ですが、リソースの関係上、直接的な原料からスタートし、その後、間接材等に展開する企業が多いようです。ただし、リスクが高いと考えられるアイテムやサプライヤーがあれば、個別に優先順位を上げて検討することも考えられます。

  • A.

    一般的に監査の基準はそれまでに自社が策定している「方針」や「ガイドライン」「マニュアル」等が根拠となります。また、評価に外部評価機関を利用している場合は、自社の監査基準もそれに準じたものになります。

  • A.

    監査を受け入れないという場合は、そのサプライヤーの原料の重要性、関係性を考慮しつつ、まずはコミュニケーション、監査ではなく訪問・面談という言葉を使いつつ、少しずつ受け入れてもらえるように検討いただければと考えます。

  • A.

    監査対象をSAQ(自己評価質問票)のスコアのみで選定することはお勧めしません。自社のマテリアリティや取扱品のリスク、地政学的リスク、対象との関係性等を総合的に検討して監査対象を選定するべきです。基本的な考え方として、本来は「すべてのサプライヤーを監査すべき」ですが、現実的なリソースの問題がありますので、状況を総合的に考えて、各社で「形骸化せず効果的に実施できる範囲」で監査を行うのが良いと考えます。

  • A.

    SAQ(自己評価質問票)回答内容について承知している方は当然ご同席いただくとして、回答内容によっても同席するべき方が異なると考えます。事前にどのような議題になるか、また質問をするかを伝えた上で、必要な人選を先方に依頼するのが良いと考えます。

負の影響への対応

  • A.

    SAQ(自己評価質問票)の内容を大項目や各社の重要視する項目から分類し、レーダーチャートで表示する企業が多いようです。また、評価結果に応じてGood pointと改善点、総評等を記載します。条件基準を設定し、用意した定型文をパターン別に記載する仕組みの企業もあります。

  • A.

    お礼と今後の改善のお願いの意味を込め、SAQ(自己評価質問票)に回答したサプライヤー全社に、メールベースでフィードバックを実施する場合が多いようです。取引金額・評価点などに応じて優先順位を設定し、一部のサプライヤーに訪問や面談を行うなど手厚くフィードバックを実施するという方法もあります。

  • A.

    SAQ(自己評価質問票)の回答のみを理由に取引停止することは一般的ではありません。SAQ(自己評価質問票)の回答において人権侵害などの重大な懸念が示唆された場合でも、それが記入誤りや解釈の相違によるものではないかを確認するプロセスが不可欠です。そのため、SAQ(自己評価質問票)の結果のみで即座に取引を停止するのではなく、まずは事実関係の精査や対話を行い、実態を正確に把握することが優先されます。

  • A.

    特定の対応部署や詳細なルールは定めてはいない企業が多く、事案発生時には調達担当者や関係部署が事情聴取やSAQ(自己評価質問票)回答内容との照合、実態調査などを行い、契約の打ち切りを含めた対応を事案ごとに判断しています。なお国際規範に照らしたあるべき姿としては、対応ガイドラインをあらかじめ明文化し、サプライヤーとの対話を通じた改善・救済を優先的に進める体制が望ましいとされています。

  • A.

    災害発生時には、被災地域のサプライヤーの安否確認と供給体制の把握を迅速に行うため、以下のような取り組み事例があります。
    事前情報の整備:原料調査書等に基づき、工場所在地や原材料の原産地をあらかじめ把握する。これにより、有事の際に影響を受ける拠点を即座に特定できる体制を整える。
    緊急時の迅速な状況確認:震度5以上の地震などが発生した際は、対象地域のサプライヤーに対し、従業員の安否、設備の損壊状況、在庫状況、出荷の可否、および物流状況を速やかに確認する。また、1次サプライヤーを通じて、その先の製造拠点の状況把握も行う。
    対応の高度化と効率化:通常業務を停滞させずに迅速な状況把握を行うため、対象サプライヤーを自動で抽出し、一斉連絡を行えるシステムの導入や活用を検討・推進する。

  • A.

    多くの企業でも現状はエクセル管理と人海戦術による状況把握が一般的ですが、将来的には取扱品目を網羅するシステム化が共通の課題となっています 。

  • A.

    現状では事業継続計画(BCP)リスク確認とSAQ(自己評価質問票)情報が十分に連携していない企業が多い状況です。一方で、同じ部署内で両方の情報を扱っているため、有事の際には柔軟に連携できる体制にあるという企業もあります。またSAQ(自己評価質問票)のアンケート機能を活用して事業継続計画(BCP)関連の調査も実施するなど、情報の集約・一元化を進める動きがみられます。

レビュー

  • A.

    サプライヤーの負担軽減のため、GCNJ版SAQ(自己評価質問票)の活用が有効です。過去にに回答している場合、重複対応が避けられます。また、質問数を見直す場合には、自社として特に重視する項目を整理したうえで、それ以外の設問を調整していく方法があります。

  • A.

    人権デュー・ディリジェンスを推進することで、人権侵害に起因する訴訟、制裁、取引停止、ブランド毀損といった重大リスクを低減できます。加えて、人権対応を取引要件とする顧客や入札が増加していることから、受注機会の確保や新規市場への参入につながり、売上拡大による利益創出が期待できます。定量的には、ESG要件付き取引の売上高、失注回避件数、制裁・訴訟コストの回避額などを指標として、その効果を把握・評価することが考えられます。

苦情処理メカニズム

  • A.

    社内規定を整備し、法令改正の都度、必要に応じて社内規定を新設、改訂しています。

  • A.

    外部ステークホルダーからの通報は、コンプライアンス部門・経営企画部門が窓口となるケースが一般的です。通報内容を確認後、適切な担当部門を決定し、調査を依頼します。通報窓口を社外ステークホルダーと社内ステークホルダーで分ける場合もあります。
    対応フローは、社内通報窓口と同様である場合もありますが、監査役の方につなぐなど、別の対応フローとなる場合もあります。

  • A.

    企業によって取組や体制は異なりますが、一般的な通報窓口の例は以下の通りです。

    • 通報の対象範囲:コンプライアンス、人権、自社の行動規範の違反行為など
    • 受付部署:法務部・コンプライアンス部などが、通報内容の聞き取りを行い、必要に応じて、担当部署に事実確認のための調査を依頼
    • 対応フロー:通報事案の重大性が高い場合、コンプライアンス委員会、懲罰委員会等の上位組織へ報告
    • 是正措置・再発防止策の検討、通報者への連絡:担当部署にて実施

    上記の体制は、通報の対象者(従業員、サプライヤーや取引先を含む社外のステークホルダー全般等)によって異なる場合もあります。また、一次受付部署を担当部署とは別に設置しているケースもありますので、企業の規模や拠点数等を踏まえて、最適な体制を構築しています。

情報開示・コミュニケーション

  • A.

    統合報告書やESG報告書においては、持続可能な調達の取組状況について、方針や体制の説明に加え、取組の進捗が分かる定量的な情報を掲載している例が多く見られます。他社の統合報告書やESG関連の開示内容などを参考にしながら、自社として開示可能な項目から検討することを推奨します。

その他

  • A.

    環境省が2025年3月に公表した「1次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド」では、サプライヤーから直接提供される一次データの活用が推奨されています。しかしながら1 次データはサプライヤーからデータの提供を受ける必要があるためハードルが高いのが現状で、現実的には 2次データを利用した算定が一般的です。具体的には IDEAなどを利用した算定となります。なお海外サプライヤーからの1次データについてはやはりその算定方法が標準化されていない、あるいは算定自体がなされていないなどの懸念があります。また海上輸送などの川上輸送での温室効果ガス算定も必要となります。

  • A.

    購買部門では通常、目先の価格交渉や、納期調整などに追われて、人権などサステナビリティまで手が回らないと言われることが多いかもしれませんが、例えば、人権に関する対応を怠り、サプライヤーでの強制労働が後から判明した場合、中長期的な目線で(社内対応コスト含む)コストの上昇や、納期への多大な影響も発生しうるものであることを、社内の経営層から担当レベルまで、地道に時間をかけて繰り返し啓発していくことが肝要です。また、購買部門のトップにも積極的に関与していただき、購買部門の管理職や担当者に人権に関するKPIを設定してもらうことも有効です。また購買部門の負荷が減るような取り組み(SAQ(自己評価質問票)依頼と回収、フィードバック、レポート作成など)も実践しています。さらに人権デュー・ディリジェンス(人権DD)を推進する対象となるサプライヤーの優先順位をつけ、できるところから進めていくことで実績作りを共有しています。

  • A.

    兆候のあるサプライヤーを特定するため、SAQ(自己評価質問票)の中に関連する質問を設定する事例があります。(外国人労働者の有無、いる場合は公平に取り扱うための社内規定・ルールの有無など)
    また人権侵害の有無の確認には訪問による現場確認が必要と考えます。現場を訪問した際に外国人労働者に対して「給与明細、作業に必要な器具の説明、構内の表記は自分が理解できる言語で書いてあるか?」「差別はないか?」「住まいは寮、社宅か?何人部屋か?一人当たり何畳のスペースが有るか?避難訓練は実施参加したか?」等を質問することも有効です。

  • A.

    法務部門と連携しながら各国の法規制を確認することが基本です。例えばEUのデュー・ディリジェンス関連指令に対応する場合、まずは経済産業省が公開している人権DDガイドラインやGCNJの人権DDマニュアルを参考にし、できる範囲から人権デューディリジェンス(人権DD)を進めていくことが推奨されます。
    また、GCNJサプライチェーン分科会のWG活動に参加しながら、他社事例を学びつつ具体的な対応を進める方法もあります。